腸腰筋の施術、シンプル版です。
「評価」
本来、立位、座位、仰臥位、腹臥位とやっていきます。
今回は、仰臥位での下肢挙上の筋力テストだけやってもらいます。
施術の流れの中での、速攻ビフォーアフターです。
立位での体幹後屈なんかも大分変わりますけどね^^
仰臥位で、下肢伸展30度くらいから下肢挙上に抵抗をかけます(大腿部にかける)。
→「ここから踏ん張って下さい」と説明します。
※より腸腰筋だけみたい場合、外転30度、やや外旋位からにすべきです。誘導が難しい人もいるので外転外旋はこだわらずにいきます。
術者が確認するだけでなく、患者さんにも力の入り具合を確認してもらいます。これ肝心です☝
「この感じ覚えておいて下さい」と念を押します。
「施術」
仰臥位でします。
(ポイント)
1.上部1(横隔膜との隣接部)。
2.上部2(肝臓より下)。
3.中部1(臍の高さ)。
4.中部2(腸骨筋と大腰筋との隣接部)。
5.下部1(大腿直筋との隣接部。その他様々な組織との隣接部)。
6.下部2(小転子)。
なのですが、
検証の結果4.5.6だけでも効果大なので4→6→5の順でいきます。もちろん全部やるとさらにいいです。
4
・この場所で、ねらうべきポイント
①臍より下方の大腰筋繊維。②大腰筋と腸骨筋との癒着取り(左右の引っ張り合い)。③腸骨筋起始部。
・ポジション
上方に立つ。患者さん、股関節膝関節屈曲位。
・手の当て方
指先下方で、四指をつかう。刺激の中心は中節と末節。場合により手掌まで使い大きくとらえる(組織のあそびをとりやすく、面を大きくとらえられる)。
・とらえ方
上から下に滑らせるようにとらえる。大腰筋と腸骨筋の間をとらえる。上から下にとらえた後、内方向外方向にさらにとらえる。
内側に触知されるのが大腰筋。外側が腸骨筋。
・刺激
①下+やや内(大腰筋と腸骨筋の隣接部から大腰筋)でとらえたら、膝関節屈曲位で股関節屈曲の自動運動。「もも上げして下さい」と言うと伝わりやすい。5回程度。
②下+外(腸骨筋)でとらえたら、内旋外旋の他動、自動運動。豪快に行うと効果大。5回程度。
6
小転子部
股関節屈曲位で、大腿骨内側(内側広筋と大腿直筋の間)を下方から滑らせて止まるところ。内側に大腿動脈があるので拍動確認。
みつけたら、皮膚のあそびをとってあてなおす。圧は弱め。
深呼吸を3回ほどしてもらう。緩んでいくのを感じる。大腿動脈の拍動の強さの変化も感じる。ドン!ドン!ときますよ。
術者、立ち位置下方。患者さん、股関節膝関節屈曲位。
5
癒着取り。上下の引っ張り合い。
股関節45度くらいで、小転子から上前腸骨棘にかけ組織をひっかけるように滑らせて手根で押圧。反発するように、股関節を伸展してもらう。
※このへんは、組織がひしめき合っているので大雑把にとらえちゃいます。
「踵を滑らせるように膝を伸ばして下さい」と言うとわかりやすい。5回程度。
術者、立ち位置下方。患者さん、股関節膝関節屈曲位。
「後評価」
前評価と同じ。結果は3パターンあり。
①術者、患者さんともに、筋出力アップを確認。感動(^^)
②術者筋出力アップを確認。患者さん今一つわからず。感覚が鈍くなっている人はわかりずらい場合もあります。
③筋出力低下。筋緊張が強かったり、中枢の問題ある場合、こういう時もあります。あるいは施術自体の失敗。
注意点、禁忌
・深部にあり刺激が到達するまでに内臓があるので、やさしく施術する。
・鼠径靭帯の圧迫は避ける。鼠径ヘルニアの誘因に。
・神経、血管を避ける。
・筋出力が低下する場合あり。
・筋裂孔での大腿神経、大腿皮神経の絞扼に注意。腸腰筋が腫れると絞扼神経障害に。
以上、腸腰筋の施術シンプル版でした。
シンプルでないとの声も出そうですが(#^.^#)